LHC運転再開に向けてのCERNのメディア対応

KEK徳宿です。

LHC加速器の運転再開の準備が進んでいます。8月にこのブログでお伝えしたように、11月の中旬にビームの再入射。その後、加速をする前にまず入射エネルギー(ビームあたり0.45テラ電子ボルト、0.45TeV、4500億電子ボルト)のままで陽子陽子衝突を行います。
 その後ビームあたり3.5TeVまで加速して、衝突実験にはいります。この、世界最高エネルギーでの初衝突は12月中旬に起こる予定です。

以上の節目節目にCERNがどのようにメディアに報告するかの方針が今月示されました。 基本的には
http://press.web.cern.ch/press/lhc-first-physics/
のウェブページで現在の状況、スケジュールの最新情報を得ることができます。

その中でスケジュールのページに書いてある重要な点を上げておきます。
1.ビーム再入射、入射エネルギーでの衝突、ビーム加速でこれまでの最高記録である米国フェルミ研究所のテバトロンの記録(1TeV)をぬいた時、及び3.5TeVを達成したとき:
  これらの時には、プレスリリースの発表という形で行います。上記Webを常時見ていれば情報が現れるはずです。

2. 3.5TeVでの陽子・陽子衝突に際して。

  衝突開始までには非常に複雑な作業がありますので、いつ衝突が起こるかを正確に決めることはできません。衝突の2週間前ぐらいに、どの期間に行うかのアナウンスをした後、実際の衝突時間が決まるのはその1,2日前ということになると想定しています。また、それでも予定通りに進むかはわからないので、来訪するメディアは準備も含めて数日待機するという体制が必要です。

 そのような条件で、CERNはメディアの来訪を受け付けます。昨年9月10日の時と同様に、LHC加速器のコントロールルームへ報道陣を受け入れるかもしれません。しかし、狭いスペースですので、非常に限定されたものになりそうです。このため、来訪希望のメディアは10月23日までに登録をする必要があります。登録は上記ウェブページのなかのaccreditationをクリックしてください。


10月13日現在で、LHCの加速器超伝導磁石はヘリウム温度以下に冷やされています。8つのセクターの内6つのセクターでは動作温度の絶対温度1.9Kまで達しており、2セクターでは既に通電テストが始まっています。

 私たち実験グループも維持補修がおわり、宇宙線を使ったテストを繰り返しています。衝突実験の始まりへ向けて準備が整っています。

    徳宿