巨人ATLAS建設の槌音

KEK広報の森田です。

今年1月のオバマ大統領の就任式の際には、その様子をひとめ見ようと200万人もの人がワシントンDCに押し寄せたそうです。

その時の様子を望遠レンズを装着したデジタル一眼レフで撮影し、220枚の画像をコンピューター処理して、マウスで操作できるバーチャルリアリティ画像にしたものをgigapan社のwebサイトで見ることができます。

gigapan: President Barack Obama's Inaugural Address by David Bergman

この画像はじつに15億ピクセルほどの解像度に相当するとのことで、マウスで画像を拡大すると、聴衆の顔を一人一人、拡大することができます。広報担当者としては、詰めかけているメディア関係者の機材とかやぐらの組み方とか大統領周辺の警備の様子がよくわかって興味深い映像です。(^_^;)

この合成には、NASAの火星探査機が撮影した画像を処理するために開発された技術が応用されているとのことで、NASAのwebサイトに解説記事があります。

NASA: Mars Technology Helps Create Inauguration Mega-picture

この技術に比べると解像度はちょっと落ちますが、ATLAS測定器やCMS、それと一周27kmに及ぶLHC加速器本体の地下100mのトンネル内部のバーチャルリアリティ映像が公開されています。

US LHC Blog: Sights and sounds of the ATLAS cavern
CERN: The Large Hadron Collider ATLAS Experiment, CERN | Peter McCready VR Photography
CERN: The Large Hadron Collider CMS Experiment, CERN | Peter McCready VR Photography
CERN: The Large Hadron Collider, CERN | Peter McCready VR Photography

興味深いのは、それぞれのVR画像に撮影時の現場の音が一緒に収録されていることです。ATLAS測定器の建設の槌音の活気や、地下100mのLHCトンネルの中で技術者が静かに語る声が幻想的に反響する様子などが印象的です。

茨城県つくば市にあるKEKでは、これらの映像と比べるとかなり見劣りしてしまいますが、静止画の他にもトンネル内を移動しながら周囲を見渡すことのできる動画を提供しています。よろしかったらこちらもあわせてお楽しみください。

KEK: KEKツアー(パノラマ映像)