コンピューティング性能試験

東京大学素粒子物理国際研究センターの磯部です

LHCの稼働は延長しましたが、この期間を利用して計算機環境をさらに最適化し、得られるデータの解析をすばやく効率的に行うべく日々努力しています。

昨年よりLHC Computiong Gridのプロジェクトでは、グリッドにおけるデータ解析性能のベンチマークを取る試験が行われています(通称アナリシスチャレンジ)。先日は日本のグリッド用計算機を用いた模擬のデータ解析試験が行われました。今回はその話をしたいと思います。
この試験では2500万事象もの用意された模擬イベントを東京大学にある計算機を用いて、どれだけ早く、効率的に解析できるか測定しました。
2500万事象の衝突イベントを解析するために、300個の解析プログラムが同時に走り出します。つまり1つの解析プログラム辺り約8万事象の衝突イベントを担当することになります。



右の図は300個の各解析プログラムにおいて、1秒あたりに平均何イベント解析できたかを表示したヒストグラム(右上)と、解析の成功率を示した円グラフ(右下)です。
この図を見てわかるように、平均して1秒辺り15イベントが1つの解析プログラムで解析され、99%以上の解析成功率を達成することができました。特にこの解析の為にはシミュレーションデータをサーバーから転送する必要があるのですが、一番速いときで2.7GByte/sec以上の転送速度で転送できた事は驚きでした。これは2秒弱でDVD1枚分のデータを転送した事になります。
この結果は他の地域解析センターの結果と比べて、非常に優れた結果であり、東京地域解析センターの性能の高さを示す事ができたと思います。