LHC落成式典を10月21日に開催


 10月2日のCERNのプレスリリースに出ましたが、LHCの落成記念式典が10月21日に行われます。

 9月10日にLHCでのビーム初周回を見事に成功させ華々しくスタートアップしましたが、19日に8つの加速器のセクターのうちの一つに問題が起こり、現在運転を停止しているのは前の報告に書いた通りです。

「問題発生のタイミングが悪く落胆するところもあるが、これまでの20年以上もかけて進めてきたプロジェクトにおいて2か月の遅れはそれほど大きなものとは考えません。要するに最先端の知識と技術を使って進めようとする実験物理の宿命みたいなものです。」とエマーCERN所長はプレスリリースの中で述べています。
 
また、10月3日に行われたCERN職員へのスピーチのなかでも、エマー所長は「ビームの初周回を予定通り成功させたことは、これまでの長い間苦労して進めてきたLHCおよびその前段加速器を含めたCERNの複合加速器施設の技術の高さを示したもの」で、「10月21日に予定通り落成式典を行うことは大変重要であり、CERNの理事会メンバーも強くサポートしている。」と述べていました。

19日のトラブルに関しては、「問題のあった部分を今室温に上げているところであり、本格的な原因究明はこれからである。状況がわかり次第随時公表していく」とのことです。「日本の高エネルギー加速器研究機構を含めて、世界中の研究所や研究者から、励ましとサポートのメッセージをもらっており、大変ありがたい。」とも述べておりました。(スピーチはフランス語で行われ、ちょっと怪しげな英語の同時通訳を聞いてのメモなので、話したことを厳密にお伝えできていないとはおもいますが)

 10月21日の式典への参加者は招待者のみです。関連各国の要人も多数参加します。式典の詳しい内容はhttp://lhc2008.web.cern.ch/LHC2008/で紹介されますし、インターネットを通して当日画像配信もされる予定です。

                 KEK 徳宿