自己紹介 東大素粒子センターの石野です

東大素粒子センターの石野です

既に数度、記事を書きましたが、ここで自己紹介をします。2002年以来、CERN を拠点に実験準備を続けてきました。TGC という名のミューオン検出器、及び これが発する信号を高速処理し (~ 2.5micro sec) 、今、ヒッグス粒子が崩壊したかもしれないので、この瞬間のデータを記録せよ!! という指令をアトラス全体に配布するトリガーシステム、 これらを組み上げてシステムとして確実に動作させることが私に課せられたミッションでした。

システムの規模は巨大です。web 表紙の写真にある様な直径25mの円盤6枚、総チャンネル数32万、これを動作させるためのプロセスは、とうてい一人でこなせるような量ではないし、必要とされるスキルも実に多様です。チームとしての高い総合力が要求されます。自分がオーガナイザーとなってチームをリードするようになった2005年以降に限定しても、デザイナー、テクニシャン、CERN サポートスタッフ、ATLAS ミューオンチーム、ATLAS トリガーチーム、そしてTGC チームを構成する人々 総計100人を超える人々の effort が 注ぎこまれています。

日々、難しい問題にぶちあたりながら、仲間と一緒にそれを解決するというプロセスの連続でしたが、そのパズルを解くような過程は実に楽しいものでした。そして1stビームが出た日の夕方に得られたいくつかの "予定通りの結果" は、今まで正しいことを行ってきたことを証明する最高の贈り物でした。”精一杯の努力と少しのラッキー”のコンビネーションによって到達できた場所、だと思っています。

2009年春に加速器が再稼働し、データが蓄積されていくのに応じて、未だ気付いていない困難や理解できない現象に出会うこともあるでしょうが、今までそうしてきた様に、これからも TGC の仲間と一緒に すべてを解決して、ATLASで新物理を発見するための重要な役割を果たしていきたいと思います。