ビームのスピードが測定できた

東大素粒子センターの石野です



この絵は 日本グループがイスラエルチームと共同で設置した MUON トリガー検出器 : TGC (ホームページの扉絵になっています) がミューオンを検出したタイミングを示すプロットです。LHC ビームが走る際、ビームパイプ内の極わずかな残留ガスとの衝突で発生する粒子、あるいは、コリメーターにビームのスソがひっかかって発生した粒子、それらを捉えたものです。

TGC は ATLAS 衝突点を中央に挟み 約 30m 離れて設置された、直径 25m の巨大検出器です。(この日のビームに対しては 上流側が C-side , 下流側が A-side です) 横軸の単位は LHC のビーム衝突間隔 25 nsec で 4BC = 100 nsec 離れていることがわかります。

ということは ... 30m / 100 nsec = 3 E8 m/sec おぉ、ぴったり光速になりますね。ATLAS は、光速を測定するために設置された装置ではありませんが、、、 知っていることが、知っている通りの結果になって出てくるというのは、測定器のふるまいを理解するための第一歩として、とても重要です。